卒業式における校長「式辞」

1 プロローグ

 忘れられないできごとがあります。
 九月十日、秋晴れ。体育祭当日の午後のことです。応援合戦が始まりしばらくして、暑さのせいか、放送機器が不具合を起こし、BGMの音量が小さくなってしまいました。その後、何が起こったか。誰かが歌い出しました。踊りながらでしたので、息切れしそうなやっとの声で。さらに、それに連られてみんなも歌い出しました。見ている私たちは息を呑みました。祈る思いでした。敵軍がピンチに陥った際には手拍子を送り、敵軍の応援合戦開始のタイミングでは「がんばれー!」というエールがグラウンドいっぱいに響き渡りました。
 不測の事態やピンチに遭遇したときに、皆さんが、臨機応変で、かつ、温かくもたくましい対応ができたのはなぜでしょうか。

2 卒業生の成長と感謝の心

 四十三名の卒業生の皆さん、卒業、誠におめでとうございます。
 二十一世紀は予測不能な時代だと言われてきました。それが机上の文言ではなく、まさに現実であることをこれだけ実感し続けた三年間はなかったのではないでしょうか。……新型コロナウイルス、ウクライナにおける戦争、それに伴う物価高騰、地震・台風・大雪等の異常気象、……。その渦中で、自分はどう生きていくべきか。唯一絶対の正解はありません。どの難題も私たち一人一人の生き方を鋭く問うています。
 そんな中、皆さんは、お互いの違いを懐深く認め合い、生かし合いながら、その都度、問題解決を図ってきました。その経験が「幸せになる力」を培っていったのです。そして、体育祭の午後の感動的なシーンに結実していったのだと思います。
 ただ、忘れてはいけないことがあります。それは、必ずどこかで誰かの支えがあったこと、そして、それに対する感謝の心です。

 A 先輩

 まずは、今ここにはいない先輩への感謝です。
 昨年度の体育祭が終わって、当時の三年生が異口同音に言っていたことがあります。それは、赤団・青団分かれて戦ったけれど、終わってみれば団を超えてみんな仲良しだった、お互いをたたえ合えるよき仲間だった、と。
 一昨年度の体育祭の応援合戦のビデオを見てみました。ダンスの完成度はかなり高く、何度見ても見飽きない出来栄えでした。勿論、画面の前面には当時の三年生の姿が映っていましたが、その背後にはまだあどけなさの残る当時の一年生、つまり、皆さんの真剣な姿が見え隠れしていました。そこで、皆さんは何を感じ何を学びながら、今につなげてきたのでしょう。
 今の自分たちは、与板中学校という歴史ある学び舎の歴代の生徒たちが連綿と築き上げてきた伝統の上に立たせていただいている。このことを決して忘れてはなりません。

 B 保護者の皆様

 次に、お家の方々への感謝です。
 お家の方々は、皆さんが思春期を迎え、しかも、世界規模の様々な難題に見舞われる中、皆さんを支え続けてこられました。様々なご心配やご苦労がおありだったのではないかと推察しています。親の心配や苦労は、皆さんが親になって初めて分かることかも知れません。でも、それが皆さんの成長を間違いなく支え続けてきたことも忘れてはなりません。
 保護者の皆様、絶えずお子さんのことを気にかけながら共に歩んできてくださって、本当にありがとうございました。この三年間、絶えず、学校教育への御理解と御力添えをいただきましたことと併せて、深く御礼申し上げます。

 C 地域の皆様

 最後に、地域の皆様への感謝です。
 ご紹介が遅くなりまして申し訳ありません。本日は、ご来賓として、与板支所支所長 川合 和志様、後援会長 丸山 信雄 様はじめ、十二名の皆様に御臨席賜っております。誠にありがとうございます。
 地域の皆様からは、物心両面の御支援をいただきました。後援会費は、皆さんも含めて生徒の成長のために使わせていただきました。挨拶がよい、等のお褒めのお電話を何回もいただきました。
 土日に地域で皆さんも含めて生徒が活躍できる場を設けてくださいました。それも、生徒や先生方の負担にお気遣いいただきながら。春は、空の青と桜のピンクと木々の緑に囲まれた旧黒川沿いでの河川清掃。丘の上の楽山亭が見下ろす中での吹奏楽部のコンサート。秋の紅葉の下、時空を超えたかのような気分で練り歩いた天地人行列。歴史と伝統ある与板地域の愛の心が皆さんを見守り、成長を後押しし続けてきたことも忘れてはなりません。

3 贈る言葉

 さて、卒業生の皆さん。今皆さんに伝えたい最大のメッセージは、「次のステージこそさらなる成長のチャンスである。」ということです。新たな出会いがあります。新たなできごとがあります。そこでは、いいことばかりではないかも知れません。傷付くことや痛みを感じることもあるかも知れません。でも、それを乗り越えた先には、新たなストーリーが待っています。
 「さらなる成長のチャンス」をものにするために、次のことを心掛けて欲しいと思います。それは、不幸が襲ってきたとき、自分だけが苦労していると思い込まないことです。仮に次から次へと不幸が手をつないで襲い続けてきたときでさえ、不平・不満ばかりを口にするのではなく、勇気を出して誰かに相談し、解決できなくても解決に向けて挑戦するのです。そして、感謝すべきことを日々心にメモし続けるのです。不平・不満だらけは自分をも本当に不幸にし、誰かへの感謝の心は自分をも幸せにします。「ありがとう。」この言葉は、誰をも幸せにし、世界に平和を齎す黄金の言葉です。

4 エピローグ

 最後に、……私たちを感動的なシーンに出逢わせてくれて、ありがとう。与板で培ってきた「幸せになる力」に自信をもってください。そして、新たに出会う人たちとともに、人生の新たなストーリーを創り上げていってください。  


   令和五年三月六日
                  
            長岡市立与板中学校校長

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