応答性(リアクション)のある集団 〜 アシスト王は誰か?〜

 4月13日(木)の午後、対面式が行われました。対面式とは、入学したばかりの1年生に対して、2・3年生が中学校生活や生徒会(信優会)活動のことを伝え、理解してもらうための説明会です。コロナ禍に入ってここ3年間は、2・3年生全員ではなく、一部のリーダーだけが参加し、1階ホールで説明していました。しかし、今年度は、コロナ禍前のように、生徒全員が体育館に集まり、大変盛り上がった会になりました。
 1年生には、内容を理解するだけでなく、2・3年生がどんな思いでどう表現し(伝え)ているか、そこにどんな工夫があるか、感じ取ってください、と校長挨拶の際にお願いしました。今年度、当校で育成を目指す力が「表現力」だからです。「2年後はあなたたちの番です!」とプレッシャー(?)をかけながら、……。


1 聞き手の聴覚(耳)だけでなく、視覚(目)にも訴えていたこと

 各担当生徒は、プレゼンテーションソフトを使ってステージ前面のスクリーンに画面を映しながら、ステージ下で説明しました。画面がないと声だけの説明になってしまいます。しかし、声に合った画面が示されるので、聴覚(耳)と視覚(目)との両方に訴えることができます。耳からの情報収集が苦手な人には、とてもありがたい視覚支援(ユニバーサルデザイン)でした。しかも、画面の中には、文章や文字だけが並んでいるのではなく、図や写真がふんだんに入っていました。
 さらに、後半の部活動紹介は、部長による口頭での説明だけでなく、部員全員による実演(キャッチボール、トス、ボレー、打ち合いなど)が披露されました。当然、聞き手の聴覚(耳)と視覚(目)に訴えられたわけですが、実演空間の空気(現場感覚)も伝わっていった気がします。トリを務めた吹奏楽部の演奏はどんどんうまくなっていて、アンコールの声が掛かりました。

2 一方的に話すだけではなく、問い(質問)を発し、聞き手に考えさせたこと

 事務局のYさんは、一方的に話すだけでなく、問い(質問)を差し挟みました。「制服で登校してきた後、いつ体操着に着替えればよいか?」その状況に応じたタイミングを、いくつか問うていました。問われれば聞き手は考えざるを得ないので、頭が活性化し、印象に残りやすい説明の仕方でした。

3 声の質を変えたこと

 バレーボール部長のМさんは、説明の冒頭、「こーんにちはー!」と明るく弾んだ声で1年生に呼びかけました。卓球部長のIさんの落ち着いた声も聞き手を惹き付けていました。

4 2人で掛け合い(漫才)をしながら進行したこと

 副会長のМさんとKさんは、掛け合い(漫才)をしながら部活動紹介に誘っていました。目的・相手・場面を踏まえ、どういう方法(言語活動)が効果的か、考えた上での挑戦でした。


 そんな表現(伝え方)の工夫が効果を発揮したのはなぜでしょうか。各担当者が表現(実演)しているときに、側でアシストしている人たちがいました。実演の最中に、「おー!」という声を上げ、雰囲気を盛り上げていた主に野球部の生徒たちです。
 人は自分が声を発したり行動を起こしたりしたときに周囲から反応がないと寂しいものです。やる気も失われます。
 アシスト王がストライカーの力を引き出したのです。

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