6年生は音楽「今様合わせに挑戦‼〜『越天楽』を元歌にして〜」という題材で学習をしました。
「今様合わせ」とは,今から1000年以上遡る平安時代中期の人々が,貴族・庶民にかかわらずに楽しんでいた掛け合い形式の音楽のことです。今様とは「今風の,新しい」という意味で,人々は七五調で思い思いに今風の歌詞を編み出し,節を付けて掛け合わせていたのではないかと考えられています。どのような節で歌われていたのかは,正確なところは不明なのですが,雅楽「越天楽」の節が転用されていた「越天楽今様」が有名で,現在では教科書の教材として扱われています。この学習で,子どもが平安時代の歌遊びを追体験し,今様合わせのよさや面白さを理解するとともに,社会や生活の中での音や音楽の捉え方を更新してほしいと願っていました。
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本題材を学習する場面で,印象的だった場面がありました。
「越天楽」の節に子どもが考えた今様を乗せて歌った時に,初見の今様に対しても「何となく」声を揃えて皆が歌えました。
もちろん,一人一人の歌い方や節回しは異なるのですが,全体とすると「大体合っている」のです。そうした歌が子どもが考えてきた今様の分だけ続きました。
この時の振り返りから,子どもが「友だちの今様に共感していること」「今様を作ることを楽しんでいること」そして「文字数の増減を楽しんでいること」が伝わってきました。
節回しのズレがあっても「大体合っている」と捉え,今様遊びを楽しむ姿だったと捉えています。
11月16日(金)の一般公開授業は,そうした過程を経た上での学習場面でした。
公開授業の最後に,子どもに「今様合わせのよさや面白さはどんなところにあると考えますか?」という問いかけで振り返りを行いました。
振り返りからは,1000年以上過去の日本人の音楽を現代の子どもも楽しめていたこと,音楽をコミュニケーションとして捉え,まるで「会話」のように歌を操っていたことが伝わってきました。
「今様合わせでバトルをしたら面白い」などという発想が生まれたことも驚きです。(おそらく,過去の日本人も今様合せで競技をしていたと考えられています。)音楽に対する見方や考え方が更新された場面でした。