中高生のためのSNS安全ガイド
SNSは広大な海のようなもの。新しい発見に満ちていますが、予測不能な危険も潜んでいます。正しい知識という羅針盤を持ち、安全な航海を楽しみましょう。
調査によると、中高生の約4人に1人がスマートフォンへの依存傾向にあるとされています。特に休日の長時間利用は、心身の健康や生活習慣に影響を及ぼす可能性があります。
出典:内閣府 令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(本インフォグラフィック用にデータを単純化)
一度ネットに流出した情報は「デジタルタトゥー」として残り続けます。軽い気持ちで公開した情報が、深刻なトラブルに繋がる危険度を比較してみましょう。
中高生を含む多くの青少年がSNSを日常的に利用しており、スマートフォン(スマホ)の所有率も高く、コミュニケーションの重要な手段となっています。しかし、その裏には多様な被害やトラブルが潜んでいます。
学校や塾とは異なり、保護者や先生の知らないところでいつでもどこでも行われるのが特徴です。LINEグループでの嫌がらせや、Twitter(現X)・Instagramでの悪意あるコメント、なりすましによるいじめも報告されています。
文部科学省の調査では、ネットいじめの認知件数は過去最多を更新し、2015年度から2021年度にかけて約2倍に増加しています。
匿名投稿でも個人特定は可能で、12歳から責任能力、14歳以上で逮捕・勾留の可能性もあります。
友達の写真やトーク画面のスクリーンショットが拡散されるトラブルが多発。体操着のような学校を識別できる情報や顔写真、自宅が特定できる投稿は、ストーカーや空き巣などの犯罪に巻き込まれるリスクを高めます。
位置情報付きの「○○なう」投稿や、許可なく私的な空間の様子を公開する行為は、肖像権侵害や名誉毀損として法的措置の対象となる可能性があります。
自分の顔画像が別のアカウントで無断使用されたり、いじめられている子になりすまして問題発言を投稿されたりするケースがあります。これは著作権侵害にもあたります。
アカウントが乗っ取られ、勝手に投稿されたりプロフィールが書き換えられたりする可能性もあり、不正アクセス禁止法違反という犯罪になることもあります。
SNSを通じて年齢や性別を偽った大人に接触され、犯罪に巻き込まれる青少年が後を絶ちません。性犯罪被害、自画撮り被害、そして「闇バイト」などの重大犯罪への加担などが挙げられます。
SNSをきっかけに犯罪に巻き込まれる青少年は年々増加傾向にあり、フィルタリングを利用していない被害者が86.5%に上るというデータもあります。
アルバイト従業員が店舗内で不適切な行為を撮影しSNSに投稿する「バイトテロ」は、企業のイメージを大きく損ない、閉店に追い込まれるケースもあります。
回転寿司店での迷惑行為やコンビニのおでんを口に含み吐き出す動画など、具体的な事例が多数報告されており、投稿者や学校名が特定され、謝罪や懲戒処分に発展しています。
中高生の約4人に1人がスマホ依存傾向にあり、休日のSNS利用時間は平日より大幅に増えます。
高校生はSNSの利用による不安として「勉強への影響」(55.5%)に次いで「ネット依存」(48.8%)を挙げています。長時間利用は睡眠や食習慣の乱れ、メンタルヘルスのリスクを高めます。
インターネットにおける「炎上」とは、オンライン上で批判や誹謗中傷が特定の対象に集中し、収拾がつかない状態になることを指します。多くの人が注目する「バズ」とは異なり、批判的な投稿が大幅に増加する点が特徴です。
企業の公式アカウント運用担当者による誤解を招く表現や、プライベートな内容の誤投稿が原因です。
著名人によるステルスマーケティングや、配慮を欠いた発言が批判の対象となります。
商品・サービスへの批判や広告デザインへの不満など、ユーザーからの投稿がきっかけとなります。
アルバイト従業員が店舗内の不適切な行為を撮影しSNSに投稿することで発生。企業に大きな損害を与え、閉店に追い込まれるケースもあります。
不倫や薬物使用といった不祥事、または本人や運営の対応の不備が原因で炎上し、番組降板など「キャンセルカルチャー」につながることも。
ネットリテラシーが不十分な高校生や大学生による、モラルに欠ける迷惑行為やいじめに関する投稿が批判を集めるケースです。
特定の話題に対して、賛成派と反対派の意見が対立し、議論が過熱することで発生。炎上が長期化する傾向があります。
規制が緩く自由にコンテンツを発信できるYouTubeは炎上が発生しやすいプラットフォーム。意図的に炎上を狙う「炎上商法」も。
ネット炎上は、インターネットという広大な空間に放たれた「デジタルインク」のようなものです。一度書き込まれた文字は、たとえ消したとしても、スクリーンショットや転載によって瞬く間に広がり、完全に消し去ることは非常に困難になります。
学校の体操着で撮影した動画をネット上に投稿することは、非常に高いリスクを伴うため、避けるべきです。以下に主な注意点を説明します。
体操着のデザインやロゴ、背景の風景などから、学校名や個人の特定につながる恐れがあります。
写真や動画に自動付加される位置情報により、自宅や学校の場所が特定され、ストーカー被害や空き巣被害などの犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。
一度公開された情報は「デジタルタトゥー」として半永久的に残り続け、将来の進学や就職に悪影響を及ぼす可能性があります。
生徒による不適切な投稿は、いわゆる「バイトテロ」と同様に、学校のイメージや評価を著しく低下させる可能性があります。
不適切な投稿は、ユーザーからの批判や誹謗中傷が集中し、「炎上」状態になることがあります。
匿名での利用が可能でも、悪質な誹謗中傷に対しては、発信者が特定されるケースが少なくありません。
SNS上での誹謗中傷は、被害者の精神に深刻かつ長期的な影響を及ぼす可能性があります。
不適切と判断される動画は、名誉毀損やプライバシー侵害として法的措置を取られる可能性があります。
未成年であっても、12歳から責任能力があるとされ賠償請求される可能性があり、14歳以上であれば逮捕・勾留、14歳未満でも保護観察処分や少年院送致となる可能性もあります。
投稿前に、内容がどのように受け取られるかを冷静に考え直す「リシンク」の習慣をつけましょう。
顔写真、学校名、体操着など、個人が特定できる可能性のある情報は絶対に掲載しないようにしましょう。位置情報の設定確認も重要です。
もしSNSでトラブルに巻き込まれそうになったり、巻き込まれたりした場合は、すぐに保護者や学校の先生、信頼できる大人に相談することが最も重要です。
スマートフォンを利用する前に、親子でSNSの使い方について話し合い、利用時間や内容などのルールを決めることも推奨されます。
SNSの利用は、まるで透明なガラスの部屋で活動するようなものです。一見、自分だけの空間のように見えても、一度外に発信された情報は、四方の壁だけでなく、天井や床、さらには目に見えない空気の流れに乗って、どこまでも拡散されてしまいます。体操着での動画投稿は、自分自身と学校という大切な「部屋」の情報を世界中に公開することに等しく、その行為が予期せぬ形で「部屋」を汚したり、傷つけたりする可能性を常に認識しておく必要があります。
感情的なメッセージを送る前に、一呼吸。怒りのピークは6秒しか続かないと言われています。「リシンク(考え直す)」の習慣が、無用なトラブルを防ぎます。
感情的な投稿
⬇誤解・対立
⬇人間関係の悪化
リシンク(一呼吸)
⬇表現を工夫
⬇円滑なコミュニケーション
「匿名だから大丈夫」は間違いです。ネット上の悪質な行為には、年齢に応じた法的な責任が伴います。
責任能力ありとされ、
損害賠償請求の可能性
逮捕・勾留の可能性
保護観察処分や
少年院送致の可能性
児童がSNSトラブルに巻き込まれないようにするためには、以下の点が重要です。
普段から子どもとしっかりとコミュニケーションを取り、SNSのアカウント投稿を見るなどして、気になることがあれば話し合ったり相談したりできる雰囲気を作りましょう。
スマートフォンを持たせる前に、SNSの使い方に関するルールを親子で話し合って決めることが推奨されます。感情的な投稿をする前に「リシンク」の習慣をつけることも有効です。
保護者はフィルタリングサービスやペアレンタルコントロール機能を積極的に活用すべきです。ただし、フィルタリングは万能ではないことも認識しておきましょう。
学校や家庭でのネットリテラシー教育が重要です。SNSの特性やリスク、適切な利用方法(個人情報の取り扱い方、著作権、正しい情報の収集・判断方法、コミュニケーションのマナーなど)を学びましょう。
顔写真、学校名、連絡先など、個人が特定できる可能性のある情報はSNSに絶対に載せないように指導することが重要です。位置情報付きの投稿にも注意が必要です。
一人で抱え込まないで。冷静に、以下の手順で対応しましょう。
1. 証拠を保存する
スクリーンショットで、投稿内容・相手のアカウント名・日時を記録します。
2. 大人に相談する
保護者、先生、信頼できる大人にすぐに相談。一人で解決しようとしないでください。
3. プラットフォームに報告
各SNSの通報機能を使って、運営会社に報告し、投稿の削除を依頼します。
4. 専門機関・法的措置を検討
悪質な場合は、弁護士や専門の相談窓口に連絡し、法的措置も考えましょう。
⚠️注意:相手に直接連絡するのは、トラブルを悪化させる可能性があるので避けましょう。