3人の仲の良い男の子(A君、B君、C君)がいました。ある日、A君が、C君に親しみを込めてあだ名をつけました。B君もそのあだ名に賛同し、その日から、C君をあだ名で呼ぶようになりました。しかし、実はC君は、そのあだ名が嫌だと思っていました。その嫌だという気持ちをA君と、B君に伝えることができませんでした。C君は、学校に行くのも嫌になり、あだ名のことをお母さんに伝えます。お母さんは、「A君と、B君は、友達なんだから、嫌だと正直に伝えた方がいい。」とアドバイスをします。それを聞いたC君は、A君とB君に勇気を出して、「あだ名は嫌だからやめてほしい。」と伝えます。すると、A君もB君も、C君が嫌だったことを知らなかったと、あわてて謝りました。
これは、道徳の「言い出せなくて」という単元の概要です。授業をしていく中で、「みんなは、C君のように、勇気をもって嫌だと言えるかな?」と聞くと、25人中、半分が「自分は言える」、半分が「言えない」と答えました。
子供たちに理由を聞いてみると、「自分は言える」の子供は、
「勇気をもって言わないと、自分が嫌な気持ちになっていく。」
「友達なんだから、言った方がいい。」
などの意見が出ました。
「自分は言えない」の子供は、
「言ったら、友達じゃなくなってしまうかもしれない。」
「言ったら、逆に何か言われるかもしれない。」
などの意見が出ました。
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次に「どうすることが一番大切だと思いますか?」と子供に聞いてみました。すると、
「正直に言った方がいい。」という意見が出ました。その理由を聞いてみると、
「勇気を出して言った方がすっきりする」
「友達だからこそ、自分の気持ちを伝えた方がいい。」
と言ったのです。
つまり、子供たちは、何が大切なのか、何をするべきなのかを分かっているのです。子供たちの話を聞いていると、
「やっぱり自分の気持ちを言った方がいい。」
「嫌だと思ったら、勇気をもって嫌だと言った方がいい。」
「嫌だと言われても、友達だったら、許してくれる。」
などたくさんの意見が出てきました。
子供たちが書いた授業の振り返りからは、道徳の話を自分ごととしてとらえて今後の生活に生かしたいという気持ちが伝わってきました。
正しいことを正しいと勇気をもって言える、そして自分の気持ちを正直に伝える。この授業を通して子供たちが感じた思いをこれからの生活に生かしてほしいと思います。