1月から,道徳の学習を中心に人権教育,同和教育を行ってきました。
これまでに子どもは,「人権の歴史」という題材で差別の歴史を学んできており,
「過去に,このような差別があったことが信じられない」
「なぜ,このような差別意識が根付いてしまったのだろう」
「どのような思いでこの差別がなくなっていったのだろう」という思いをもっていました。しかし,ここでは平安期から近代にかけての差別の歴史を学び,実際の差別の姿や差別に立ち向かう人々の様子を想像する程度にとどまっていました。
そこで,1月30日(水)に「人の世に熱あれ,人間に光あれ―西光万吉の半生―」という題材で道徳の学習を行いました。
西光万吉(1985〜1970)とは,全国水平社創立の中心人物であり,日本初の人権宣言と称される水平社宣言の起草者として知られています。子どもが学習した西光万吉の半生からは、万吉に「差別」が付きまとっていたこと,万吉が「差別」に悩み苦しんでいたこと,そして仲間とともに「差別の解消」に立ち向かっていったことが分かります。
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スター☆の子どもには,万吉の半生を追いながら「差別の恐ろしさや悲惨さ」「夢や目標を実現させようとする姿の影に,差別があったこと」,そして「万吉が差別に正対し,仲間と共に闘ったこと」を学んでほしいと願っていました。
子どもは,題材文を読みながら「小学生の頃」「中学生の頃」「絵を勉強していた頃」「故郷に帰った頃」「水平社創立大会の頃」の万吉の状況や心情をまとめていく中で,
「周りから,差別の目で見られていることがひどい」,
「大人まで,差別的な接し方をしていたことが信じられない」
「夢をもって,その道に突き進もうとしていたのに,差別が原因で,自分がしたいことができないなんて,かわいそうなことだ」
といった感想をもちました。また,
「万吉は,最後には自分への差別に向き合って前に進んだんだね」
という感想をもった子どももいました。先人の半生に触れながら,差別の実態やあきらめずに向き合う姿を理解していきました。
子どもたちの振り返りからは,差別の姿や差別に立ち向かう人々の心情を捉える姿を感じることができました。また,万吉の半生から「苦しいことや困難なことがあっても,自分を律して差別や不合理に負けずに立ち向かう」ことのすばらしさを感じている様子も見ることができました。
卒業が目前です。子どもの社会が広くなる時です。もしかすると「差別」の場面,「差別」につながる場面に出くわすかもしれません。「あれ,おかしいな」「変だな」「これは差別ではないかな」と「差別」に気付き,「差別」に立ち向かったり,自分を律したりする精神を養っていけるようにと願っています。